日本のどこで大地震が起きてもおかしくない今、築40年を超える古いお住まいの安全性は本当に大丈夫でしょうか。
「今まで大丈夫だった」という経験則は、巨大地震の前では通用しないかもしれません。
古い家には現在の耐震基準を満たさない構造的な弱点や、目に見えない劣化が確実に潜んでいます。
この記事では、大地震で古い家に何が起こるのか、そのリアルな危険性を専門家が解説。
そしてあなたと大切な家族の命、財産を守るために今すぐ何をすべきか具体的な対策までご紹介します。
目次
なぜ古い家は地震に弱いのか?3つの根本的な原因
「古い家は地震に弱い」と一括りにされがちですが、それには明確な理由が存在します。
デザインや間取りの問題ではなく、建物の安全性に関わるより根本的な3つの原因について詳しく見ていきましょう。これらの原因を理解することが、適切な対策を考える上での第一歩となります。
原因①:最も大きな要因「旧耐震基準」という現実
あなたの家が地震に対してどれくらいの強さを持つかを決める最も大きな要因、それが「耐震基準」です。
日本の建築基準法における耐震基準は、過去の大地震の教訓を元に、何度も改正されてきました。その中でも特に重要なのが、1981年(昭和56年)6月1日の法改正です。この日を境にそれ以前の基準を「旧耐震基準」、それ以降の基準を「新耐震基準」と呼び、両者には決定的な性能差があります。
「旧耐震基準」(1981年5月31日以前)は、震度5強程度の揺れに対して建物が倒壊・崩壊しないことを目標として設計されています。しかし、これには大きな落とし穴があります。震度6強から7に達するような「大地震」は明確に想定されていなかったのです。つまり、旧耐震基準の家は私たちが今備えるべき巨大地震に対して、そもそも耐えうる設計思想で作られていない可能性が高いのです。
一方、「新耐震基準」(1981年6月1日以降)では、この点が大きく見直されました。震度5強程度の地震ではほとんど損傷せず、さらに「震度6強~7の大地震でも人命が損なわれるような倒壊・崩壊はしない」ことが求められるようになりました。さらに木造住宅においては、2000年にも重要な改正(通称:2000年基準)が行われ、地盤の強度に応じた基礎の設計、柱が土台から抜けるのを防ぐホールダウン金物の設置義務化、そして地震の力をバランス良く受け止めるための耐力壁の配置計算(偏心率のチェックなど)がより厳格化されました。
築40年以上の家は、2025年現在、その多くがこの「旧耐震基準」で建てられています。これは最新の住宅と比較して、大地震に対する防御力が根本的に不足しているという、動かしがたい事実なのです。
原因②:目に見えない「経年劣化」の進行
建物も人間と同じように、年月と共に少しずつ老いていきます。新築時には強固だった部材も40年、50年という歳月の中で、目に見えない部分から確実に劣化が進行しています。この「経年劣化」が、地震に対する抵抗力をじわじわと削り取っていくのです。
特に木造住宅の場合、湿気や雨漏りは大敵です。屋根や壁のわずかな隙間から侵入した水分は、壁の内部や床下といった普段見えない場所に溜まり、柱や土台といった家の構造を支える重要な木材を腐らせていきます。腐ってしまった木材はスポンジのように脆くなり、地震の強大な力が加わった際に、いとも簡単に折れたり砕けたりしてしまいます。
また昔の木造住宅は、柱と梁などの接合部を釘や「かすがい」といった金物で留めていることが多くあります。長年の間に木材が乾燥して収縮したり、小さな地震の揺れを何度も経験したりすることで、これらの接合部には少しずつ緩みが生じます。一つ一つの緩みは小さくても、家全体で考えればそれは建物全体の剛性(硬さ)を大きく低下させる原因となります。地震の揺れに対して、家全体で一体となって抵抗する力が弱まってしまうのです。
さらに、家全体を支える「基礎」も例外ではありません。コンクリートに髪の毛のような細いひび割れが入り、そこから雨水が浸入すると、内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを内側から破壊していきます。旧耐震基準の時代には、そもそも鉄筋が入っていない「無筋コンクリート」の基礎も多く、その強度は現在の基準と比べると著しく低いのが実情です。
原因③:家の天敵「シロアリ」による被害
経年劣化と密接に関係し、家の強度に致命的なダメージを与えるのが「シロアリ」の存在です。シロアリは暗くて湿った場所を好み、木材を主食としています。つまり湿気で劣化した家の床下や壁の内部は、彼らにとって最高のレストランなのです。
シロアリ被害の最も恐ろしい点は、被害が家の外側からはほとんど見えないことです。彼らは木材の表面を薄く残しながら、内部だけをトンネルのように食い荒らしていきます。そのため、見た目は普通の柱や土台に見えても、中身はスカスカの空洞になっているケースが少なくありません。そのような状態の木材は、もはや家の重さを支える力も地震の揺れに抵抗する力も残っていません。
新築時に行われた防蟻処理(シロアリ予防の薬剤処理)の効果は、一般的に5年~10年程度で切れてしまいます。築40年以上の家でその後一度も再処理を行っていない場合、シロアリの被害を受けているリスクは非常に高いと言わざるを得ません。特に過去に雨漏りがあったり、家の周りに木材や段ボールを放置していたりする環境は、シロアリを呼び寄せる原因となります。経年劣化で弱ったところにシロアリ被害が加わることで、古い家は地震に対して極めて無防備な状態になってしまうのです。
【シミュレーション】大地震発生!その時、古い家で起こること
もしも今、震度6強の大地震が発生したら、築40年以上の古い家では具体的にどのような事態が起こるのでしょうか。
揺れの最中からその後の生活に至るまで、起こりうる出来事を時系列でシミュレーションしてみましょう。
揺れの最中(数十秒~数分):命を守れるかの分岐点
激しい初期微動(P波)に続き突き上げるような、あるいは横に激しく揺さぶるような主要動(S波)が襲いかかります。この数十秒から数分間が、文字通り生死を分ける時間となります。
古い木造住宅で最も警戒すべき現象が「1階部分の圧壊」です。
旧耐震基準の家は、壁の量(耐力壁)が絶対的に不足している上に、その配置バランスも考慮されていません。そのため、強烈な横揺れを受けると1階部分が菱形に歪み、最終的には屋根や2階の重みに耐えきれず、パンケーキがつぶれるように押し潰されてしまうのです。阪神・淡路大震災や熊本地震で亡くなった方の多くは、この1階部分の圧壊による圧死が原因でした。就寝中に地震が発生した場合、逃げる間もなく押し潰されてしまう可能性が極めて高いのです。
同時に、室内では固定されていないタンスや食器棚、本棚、テレビなどが猛烈な勢いで倒れたり滑ってきたりします。
これらは単なる障害物ではなく、人間に直撃すれば大怪我につながる「凶器」と化します。食器棚からガラスや陶器が飛び散り、床一面に散乱。避難しようにも、足の踏み場もない危険な状態になります。
家の外では、重い瓦屋根が激しい揺れで崩れ落ちます。
瓦の落下は家の外にいる人や、慌てて外に避難しようとした家族の頭上に降り注ぐ危険性があります。また、窓ガラスも激しい揺れで歪み、粉々に砕け散ります。割れたガラスの破片は室内外に飛散し、深刻な怪我の原因となるのです。
揺れの直後:倒壊を免れても、そこは安全な場所ではない
奇跡的に建物の完全な倒壊を免れたとしても、決して安心はできません。揺れが収まった直後から、次なる脅威が襲いかかります。
まず、建物が大きく傾いている可能性があります。
地盤が弱い場所では液状化現象によって傾くこともあります。家が傾くと柱や梁に無理な力がかかり続け、ドアや窓枠が歪んで開かなくなります。これにより、室内に閉じ込められてしまう危険性が高まります。また、傾いた家の中にいると平衡感覚が狂い、めまいや吐き気をもよおすなど、健康被害にも繋がります。
次に、火災の発生リスクです。
激しい揺れで電気コードが損傷してショートしたり、暖房器具が転倒して可燃物に引火したりする可能性があります。また、ガス管が破損し、ガス漏れが発生することも。電気が復旧した瞬間に、漏れたガスに引火して大規模な火災や爆発を引き起こす「通電火災」は、地震後の二次災害として非常に恐れられています。
たとえ倒壊や火災を免れても、建物は目に見えない深刻なダメージを負っています。
基礎には大きな亀裂が入り、柱や梁は折れかかっているかもしれません。その状態で、本震よりも規模は小さいながらも何度も襲い来る「余震」を受けたらどうなるでしょうか。本震でかろうじて持ちこたえていた建物が度重なる余震のダメージによって、ついに限界を超えて倒壊してしまうケースは、過去の震災でも数多く報告されています。揺れが収まったからといって、その家がもはや安全な場所ではないのです。
その後の生活:住み慣れた我が家を失う現実
大地震を生き延びた後、待っているのは過酷な現実です。
まず、行政による建物の被害認定調査が行われます。調査の結果、あなたの家が「全壊」や「大規模半壊」と判定される、あるいは「危険(赤紙)」の判定を受ければ、たとえ形が残っていても倒壊の危険があるため立ち入ることはできなくなります。
これは長年住み慣れた我が家と、その中にある思い出の品々や家財道具のほとんどを失うことを意味します。そして、長期にわたる避-難所生活が始まります。プライバシーのない空間での集団生活は、心身ともに大きなストレスとなります。その後、運良く仮設住宅に入れたとしても、元の生活に戻るまでには長い道のりが待っています。
経済的な打撃も計り知れません。
危険と判定された家の解体費用が必要になります。そして、新しい住まいを確保するための費用も考えなければなりません。賃貸住宅を探す、あるいは家を再建するにも莫大な資金が必要です。地震保険に加入していても、保険金だけで家を建て直すのは困難な場合がほとんどです。
「一部損壊(黄紙)」の判定で、かろうじて住み続けられると判断されたとしても、安心はできません。傾いた家の修繕や損傷した構造の補強には、数百万円から場合によっては1000万円を超える高額な修繕費用がかかります。公的な支援(義援金など)だけでは到底賄えず、多くの被災者が二重のローンに苦しむことになるのが現実なのです。大地震は一瞬にして、私たちの穏やかな日常と未来の計画を根こそぎ奪い去っていくのです。
命と財産を守るために。今すぐできる具体的な対策とは
ここまで、古い家が抱える大地震のリスクについて解説してきました。
しかし、ただ不安を煽るだけでは意味がありません。ここからはその最悪の事態を回避するために、今すぐ何をすべきか具体的な対策方法についてご紹介します。
STEP1:まずは我が家の実力を知る「耐震診断」
どんな対策を立てるにしてもまずは敵を知り、己を知ることから始めなければなりません。あなたの家が、現在の耐震基準に対してどれくらいの強度を持っているのか、どこに弱点を抱えているのかを正確に把握すること。それが「耐震診断」です。
耐震診断は、建築士などの専門家が、図面調査と現地調査によって行います。現地では家の傾きや基礎のひび割れ、壁の配置バランス、屋根の重さ、部材の劣化状況などを細かくチェックします。その結果は、「評点(Iw値)」という数値で示されます。この評点が、あなたの家の耐震性能を示す客観的な指標となります。
- 評点1.5以上:倒壊しない
- 評点1.0以上~1.5未満:一応倒壊しない
- 評点0.7以上~1.0未満:倒壊する可能性がある
- 評点0.7未満:倒壊する可能性が高い
新耐震基準では、評点1.0以上であることが求められます。もしあなたの家の評点が1.0を下回っていた場合、大地震で倒壊するリスクが高いことを意味し、何らかの補強工事が必要と判断されます。
「費用が高そう…」と躊躇されるかもしれませんが、多くの自治体ではこの耐震診断に対して補助金制度を設けています。例えば、加古川市でも「住宅耐震化等促進事業」などにより、無料または非常に安価な費用で専門家による診断を受けられる場合があります。まずは、お住まいの自治体の制度を確認し、この第一歩を踏み出すことが何よりも重要です。
STEP2:弱点を補強する「耐震リフォーム(補強工事)」
耐震診断によって家の弱点が明らかになったら、次はその弱点を克服するための「耐震リフォーム(補強工事)」を行います。診断結果に基づき、専門家があなたの家に最適な補強計画を立案してくれます。主な工事内容は以下の通りです。
- 壁の補強: 地震の横揺れに抵抗する「耐力壁」が不足している箇所に、筋交(すじかい)を入れたり、構造用合板を張ったりして、壁の強度と量を増やします。家全体のバランスを考えて配置することが重要です。
- 接合部の補強: 地震の揺れで柱が土台から引き抜かれたり、梁から抜けたりするのを防ぐため、ホールダウン金物や羽子板ボルトといった専用の補強金物で接合部を強固に連結します。
- 基礎の補強: 基礎にひび割れがあれば、樹脂を注入するなどして補修します。鉄筋が入っていない無筋コンクリートの基礎の場合は、既存の基礎の外側に鉄筋コンクリートの基礎を抱き合わせるように増設する「増し打ち」という工法で補強します。
- 屋根の軽量化: 重い瓦屋根は建物の重心を高くし、地震の揺れを増幅させる大きな要因です。これを、軽量な金属屋根(ガルバリウム鋼板など)に葺き替えることで建物の重心が下がり、揺れ自体を小さくする効果が期待できます。耐震性を向上させる上で非常に効果的な方法の一つです。
- 腐食・シロアリ被害部分の交換: 土台や柱など、腐ったりシロアリに食われたりして強度が低下している部材は、新しい木材に交換します。同時に防蟻処理も改めて行い、再発を防ぎます。
これらの工事は、家全体のリフォーム(フルリフォーム)と同時に行うと、壁や床を解体する工程が一度で済むため、効率的かつトータルコストを抑えられる場合があります。
耐震リフォームにかかる費用と、賢く活用できる補助金制度
家族の安全を守るために不可欠な耐震リフォームですが、やはり気になるのは費用面でしょう。
ここでは、費用の相場と、負担を軽減するための公的な支援制度について解説します。
耐震リフォームの費用相場
耐震リフォームの費用は、お住まいの大きさ、現在の耐震性能(評点)、建物の劣化状況、そして目標とする耐震レベル(どこまで強度を高めるか)によって大きく変動します。一概には言えませんが一般的な木造一戸建ての場合、おおよそ150万円~250万円が中心的な価格帯となります。
例えば、壁の補強と金物の設置が中心であれば150万円前後、それに加えて基礎の補強や屋根の軽量化まで行うと250万円を超えることもあります。もちろん、これはあくまで耐震工事単体で行った場合の目安です。
前述の通り、壁紙の張り替えや水回りの交換といった内装リフォームや、外壁塗装などの外装リフォームと同時に耐震工事を行うことで、メリットが生まれる場合があります。壁や床を解体する工程や、足場を組む工程が一度で済むため、別々に工事を行うよりも効率的で、結果的にトータルコストを抑えられる可能性があるのです。リフォームを計画する際は、ぜひ耐震補強もセットで検討することをお勧めします。
加古川市で活用したい!補助金・助成金制度
住民の生命と財産を地震から守るため、国や自治体は住宅の耐震化を強力に推進しており、その一環として手厚い補助金・助成金制度を用意しています。これらを賢く活用することで、リフォーム費用の負担を大幅に軽減することが可能です。
例えば、加古川市では「住宅耐震化等促進事業」といった名称で、耐震化に関する様々な支援を行っている場合があります。主な支援内容は以下の通りです。
- 耐震診断への補助: 専門家による耐震診断を、無料または少額の自己負担で受けられる制度。
- 耐震改修工事への補助: 診断の結果、必要と判断された耐震補強工事の費用の一部を補助する制度。工事費用の半分、上限100万円といった形で補助が受けられることが多く、リフォーム計画の大きな助けとなります。
- 簡易耐震改修工事への補助: より手軽に取り組める補強工事(特定の部屋だけを補強するなど)に対する補助。
これらの補助金制度は、年度ごとに予算や申請期間、要件が定められています。まずは「加古川市 住宅 耐震 補助金」などのキーワードで検索し、市の公式ホームページで最新の情報を確認することが重要です。 また、補助金の申請は、必要な書類が多く手続きが複雑な場合もありますが、多くのリフォーム会社が申請の代行やサポートを行っています。耐震リフォームを依頼する際には補助金活用の実績が豊富で、手続きにも詳しい会社を選ぶと安心です。 さらに耐震リフォームを行うと、所得税の特別控除や翌年度の固定資産税の減額といった税制上の優遇措置を受けられる場合もあります。これらを組み合わせることで、実質的な負担をさらに抑えることが可能です。
大地震は「いつか」ではなく「いつでも」来る
築40年以上の古い家が抱える地震のリスクは、決して他人事ではありません。しかしただ恐れるのではなく、今すぐ行動することが重要です。
古い家が持つ地震への弱点は、現代の技術と適切なリフォームで克服できます。その第一歩が専門家による「耐震診断」で我が家の本当の実力を知ること。これが全ての対策のスタートラインです。
耐震リフォームは単なる修繕ではなく、家族の命と未来の生活を守るための価値ある「投資」です。「あの時やっておけば」と後悔する前に、まずは専門家への相談から始めてみませんか。
皆様からのご相談をお待ちしております。
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施工対象エリア「加古川市、明石市、姫路市、高砂市、播磨町、稲美町」
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